2022/11/28

ARとSCADAを統合したリモート監視システムが世界の果てで天体望遠鏡の最適な観測機能に貢献

テクノロジーが発達した現在でも、重要なインフラの円滑な稼働は大きな課題です。 ニカラグアの滝を利用した水力発電の維持も、アメリカの東西海岸を超えてテレビ信号を送ることも、世界の大都市の飲用水問題の解決にも、安定した運営を維持して中断を発生させないことが、現代のオートメーションにおいて大きな課題です。 そして、山頂の過酷な気候を克服して、貴重かつ複雑な施設を暴風雨から守り、円滑に稼働させることも大きな課題であり、これも、産業オートメーションにおいて改善しなければいけないボトルネックです。 

SCADAソリューションで望遠鏡関連システムを監視する契機

SCADAシステムの高度な天体望遠鏡における運用について、ポール・コリンズは以下のように説明しています。ジェミニ天文台は2台の光学/赤外線望遠鏡で構成されており、北望遠鏡はハワイのマウナケア火山、南望遠鏡はチリのパチョン山にあります。 1996 年より、コリンズはジェミニ展望台の電気管理責任者を長年務めました。 研究チームは長年にわたって、過酷な気候の影響で標高2700メートルの山を登る際に困難と遭遇し、山頂の望遠鏡の主要システムをリモート監視することはできませんでした。このことで大きく挫折したコリンズは、リモート監視システムを自ら開発することに尽力しましたが、ファイアウォール内の全てのシステムに接続できなかったため、SCADAによる関連ソリューション開発へ切り替えることになりました。 

工業用画像制御ソフトSCADAは通常は水道、電力、製造などの分野で用いられますが、コリンズは望遠鏡の各システムを統合し、観察員やメンテナンス担当者へ安全な方法で、チームが本拠地またはその他の場所で望遠鏡の観測情報を得るのに役立つことに気が付きました。 異なるSCADA製品の比較検討を経て、VTScadaがModbusやSNMPなどの内蔵通信プロトコルや各種ハードウェア設備によって通信を行う総合プラットフォームと言うことに気づき、そのオールラウンドな性能とハードウェアの高い互換性ゆえにコリンズはこれを選択しました。 

SCADAが天体望遠鏡リモート監視に成功 

当初、コリンズはVTScadaLIGHTの無料工業ライセンスをダウンロードしてVTScadaNのデイブ・スペンサー氏へ連絡し、VTScadaと天文台の Modbus PLC 、SNMP設備への接続ついて協力を要請しました。 コリンズはついにVTScadaは2組の配置/実行ライセンス、冗長性アラート、合理化されたクライアントエンドポイント、トレーニングクレジットを含むVTScadaデュアルサーバーソリューションを購入し、このトレーニンクレジットを利用してフロリダ州オーランドで開催されたVTScadaFestのベーシックトレーニングを修了しました。 

その後、コリンズはVTScadaを運用して、UPS装置、エアコンプレッサー、火災報知器、精密で複雑な冷却装置など天体望遠鏡の関連システムをチームがリモート監視できる高度なアプリケーションを開発しました。 また、星座、シャッター位置、大雨や地震など災害情報など望遠鏡のリモート監視者が関連情報をいち早く取得できるシステム表示画面を自分で開発しました。 

ARとSCADAを接続してリモート監視をアップグレード 

SCADAによる望遠鏡のリモート監視による観測情報取得を実現後、コリンズはSCADAと新興技術のAR(拡張現実)技術の統合へシフトし、ARでSCADAリモート監視のビュー機能の強化を目指しました。 

コリンズはYouTubeでMicrosoft HoloLensのARを実際に見たとき、大いに興味が湧いてきました。 市場調査を経て、コリンズは最終的に工業用AR開発会社Aircadaの公式サイトにアップロードされているでも動画を見つけました。 動画では、オペレーターがタブレットを持ち歩いて工場内を歩き、ラブレッとでさまざまな設備に向けることで、画面上の対応する運転値、トレンドグラフ、各ポンプ、モーターの警報が表示されました。 

そこで、コリンズはAircadaとVTScadaの開発チームへ連絡をとり、SCADA監視システムとAR技術の統合プラットフォームを共同開発しました。 現在はチェックリストを持ちながらあちこち動き回る必要がなく、グラフィックソフトを使用してグラフを作成し、リアルタイムポンプのアンペア値を把握し、リアルタイムのデータトレンドを出力して、毎時間/毎日/毎週の平均数値の変化を分析、表示することができます。 さらに、この統合ソリューションは自動的に内蔵システムのメンテナンス記録を出力できます。 

以下のリンクをクリックすれば、ジェミニ展望台とSCADA、AR の統合によるリモート監視ソリューションの詳細をご覧いただけます。

(https://www.youtube.com/watch?v=rMhMaNzJz8w)  

元記事Delta Americas『Delta Digest』10月号
 

ニュースソース:台達機電事業群